賢いシステム受発注マニュアル(後編)

前回の記事で、工場原価管理システムならびに全社経理システムを構築する場合を例に、システム開発の見積相場や、契約時に注意すべきポイントなどをご紹介しました。
今回はわたしの実体験をもとにした、失敗例・成功例をお話させていただきます。

失敗例:工場別のプログラムで維持が煩雑に!

開発は、発注者(業務部門)の各活動毎に開発を行えばいいように思えますが、実際にはそう単純ではありません。国内外に複数の工場があったり、合併などの会社の内部・外部要因で、それぞれに要件が異なることがあります。

以前、各工場別に16本のプログラムを作ることになった経験があります。

例えば、日本とアメリカに工場がある場合、金額の計算方法だけでも違ってきます。日本は小数がなく円単位ですが、アメリカはドル単位ではなくセント単位で四捨五入するといった具合でです。
それぞれに開発費はいただけますが、各工場の要件を覚えないといけなくて(ある意味ブラックボックス化)、維持が大変になりました。トラブルが発生した際に、仕様がバラバラだったため迅速な対応が取れなかったこともあります。

また、WEB系はインターフェースがユーザーに受け入れられやすいのですが、大量のデータを扱うバッチ処理を行うと、処理に数日かかるようなこともありました。

成功例:発注者の要望+α の対応で、次の受注につなげる

さて、先に挙げた企業ですが、その後どのような対応をしたのか気になりますよね?
結論からお話しますと、最後には大変喜ばれて、ほかのシステム案件もいただくことになりました。そのときの対応の一部を、具体的にお話しましょう。

大量データのバッチ処理

処理に数日かかることもあったWeb系のバッチ処理に対しては、データを社内システムへ転送して、COBOL等のコンパイル言語で処理し、レスポンスを改善しました。

マスタの整理

16本のプログラム開発を行うのではなく、「各活動ごとにどんな仕訳を作成すれば良いのか」から整理を始めました。
次に、仕入先マスタに一般仕入先・関連会社・下請け・海外仕入先などの記号をつけ、各活動とそれに付随する条件設定ができるマスタを用意。条件設定マスタから分岐させることによって、仕訳データを作成するプログラムと、条件マスタの登録画面ひとつで対応できるよう、設定を行ないました。各国で異なる通貨の計算方法も、サブルーチンで対応可能になりました。

マスタで外部要因にも対応

会社の内部事情ではなく、外部要件によるシステム変更もあります。

2013年から、日本では決算報告書を「米国式会計基準」ではなく、「IFRS(国際財務報告書基準)」に移行する必要がありました。
これまでは、出荷した時点で売上計上するか、得意先の検収時点で売上計上するか、自分で決めることができたのですが、「IFRS」では ”得意先の検収時点で売上計上” に統一されたのです。
多くの会社ではシステム変更する必要があった思われますが、上記のマスタにしていたため、マスタ変更だけで完了しました。その結果、開発工数が少なく、発注者に大変喜ばれ、他システム案件の獲得にも繋がったのです。

どういう体制を組んでもらうか

最後に、開発メンバーに必要な「人選」についても触れてみましょう。
発注側・受注側それぞれに適したメンバーが加わることで、開発がスムーズに進むだけでなく、納品後のトラブルも回避できます。

 

【発注者側】

  • 責任者
    リーダーから説明を受け決済する。
  • リーダー
    発注者と受注者の進行役と要件責任を行なう。
  • 工場原価部門
    各活動でどんな仕訳を作成するか細かな要件が出せる。
  • 経理部門
    全社の会計にあっているか確認できる。
    勘定や部門などのコード決定できる。
  • 経理システム者
    工場からデータの連携方法(レイアウト、コード、受信日時など)、経理システムに正常に取り込み処理を行った結果を返信する方法、異常時の対応方法などを理解している。

 

【受注者側】

  • 責任者
    リーダーから説明を受け決済する。
  • リーダー
    発注者側のリーダーと協力して、体制を維持して、要件・スケジュール管理をする。
    外部開発会社への依頼内容な契約内容を作成できる。
  • 担当SE
    各設計段階の仕様を作成できる。
    外部関連会社に仕様を提示するため、複雑なシステムから共通な部分を見つけて、サブルーチン化できる。
  • 外部開発会社(どこの段階から開発・維持に関わるかによる)
    WEB入力・出力系、バッチ処理系。
    夜間などの保守にも対応できる会社が望ましい。

 

最後までご覧いただき、ありがとうございました。
なにかの参考になれば幸いです。

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